イージーモード・ラブストーリー

書籍、特に漫画はここ近年では電子書籍でばかり買うようになりました。
今の部屋には紙の書籍がうず高く堆積しており、処分しないともはや次の本が買えないという何とも言えない事情があるから、というのも大きいです。

でも、紙書籍だろうが電子書籍だろうが、漫画は昔から表紙だけを見て買うことがほとんどです。
トレンドに乗って買うのが何だか癪なので、自分の感性だけで買います。
と、のたまいつつも、結局は人気のある本も普通に買ってるので、何が何やらです。


それで、表紙買いですが、私が買うポイントの1つは「可愛い女の子が表紙にいる」です。もうアメーバよりも反射的に買うレベルで、表紙に可愛い女の子が写っていれば買ってしまってます。

そうして買ってきた本には、恋愛ものも少なくないのですが、近年、私が気に入っているのは、特に男にとってハードルが低いままで邪魔も入らずに少しずつ確実に恋愛が成就していく、という内容のものです。

先にタイトルを出すと、こんな感じの本です。タイトル、作者の順です。


つるつるとザラザラの間  月子 全4巻
好きな子がめがねを忘れた 藤近小梅 5巻まで
僕の心のヤバイやつ    桜井のりお 3巻まで
からかい上手の高木さん  山本崇一朗 13巻まで
新婚のいろはさん     OYSTER 4巻まで
それでも歩は寄せてくる  山本崇一朗 3巻まで


という感じです。いずれかを読んだ方はお分かりだと思いますが、女の子から男の子にぐいぐい好意的に関わってきて、最初は恋かどうかも分からないけれども着実に仲が深まっていく、というストーリーのものです。「それでも歩」は逆パターンですけど。

恋愛ものって言うと、すれ違い勘違いで破局みたいになってその代わりに他の友人との仲が深まってしまって縁が切れそうだけどもみょんなことからまた仲良くなって今度はより深く互いを好きになっていく…みたいなものがかつては多かった気がしますが、上記の作品にはそんなハラハラドキドキ展開はほとんどありません。

「新婚のいろはさん」を除くと中学生または高校生のカップルなので、まだ恋とすら言えず、下手すると友人関係かどうかも怪しいという微かな結びつきだけれども、他の人とは確実に違うパーソナルスペースを無視した密着性の高さが先にあって少しずつ互いを意識し合うというのは「プラトニックラブ」ともちょっと違っていて、これはまさに21世紀の新しい恋愛ものの形なんだなぁと思ったりしています。


予定調和って、負のイメージを持つこともありますけど、主人公のカップルがそれぞれに苦しみにのたうち回ることなく、健全な精神のうちに少しずつ幸せをかみしめていく、というのはなぜかこちらも気分が高揚してくるし、別に悪い気はしないと思っています。
主人公の彼と彼女が互いを意識していく、というのは微笑ましくもあり、よく分かりませんが、ニヤニヤが止まりませんし、こちらも幸せな気分になってきたりします。
つまり、これは自分にとってどちらかというと「良い」ことになるのだろうと感じています。

不思議なものですね……

でもまあ、恋愛に限らず、何かが成就していくのを疑似体験する、というのは何とも心地よいものです。
本当は、その成就を何でもかんでも自分で体験するのが最強なんでしょうけど、まあ、いろんな事情やらで、そうもいかないわけです。

事実のみ、現実のみに目を向けて生きるには、現代社会はあまりにも殺伐としすぎていると私は思っているので、こうした書籍で楽しい気分になるのも大事なことだよなぁ、と思いつつ、

上記の本のネタバレにならない程度の簡単な解説をしましょうではないでしょうか。


つるつるとザラザラの間(リンク先はYahoo検索。以下も同様)
主人公は、爬虫類専門ペットショップ経営の母親の1人息子である中学生。何か特技があるというわけでもなく、イケメンというわけでもないが、爬虫類好きな女子中学生さやちゃんに早々に告白されてカップルとして主に放課後ライフを楽しく過ごしていく、という内容です。
さやちゃんは超絶可愛いし、でも高飛車なところもなく、しかも主人公にぞっこんという、なんともうらやましい話ですが、読んでる間中、ずっとニヤニヤが止まりませんでした。ちょっと打ち切りっぽい終わりになっているのが残念ですが、後味はいいです。

好きな子がめがねを忘れた
主人公は男子中学生の小村くん。隣の席の女の子三重さんは、ド近眼なのにいつも眼鏡を忘れるので、教科書をシェアするときも近眼ゆえに小村くんといつも超密接してしまう。鈍感で天然すぎる三重さんは全く意識せずに異性の小村くんと日頃から密接してしまっていたが、そのうちに理由は分からないまま小村くんの顔を間近で見ることですごく安心してしまうことに気づき始めるところから、淡い恋のような関係が始まる、という内容です。
三重さんが全方面で可愛い。しかめっ面でも可愛い。三重さんが天然入ってるのは、本作ではかなり重要な要素になってます。

僕の心のヤバイやつ
主人公は陰キャな中学生男子の小柄な市川くん。同じクラスの大柄でグラマーな誌上モデルの「超陽キャ」安奈ちゃんとは接点などあるはずもなかったが、図書室でのちょっとした関わりから、2人で会話を交わすことになる。やがて安奈ちゃんが市川くんにベタ惚れして市川くんもそれを自覚せずにはいられなくなるという話。
安奈ちゃんは芸能人でもあるので2人の先行きは非常に不透明だし、安奈ちゃんがベタ惚れでも立場の違いから突然恋仲が打ち切られてしまうという危険性が見え隠れしつつも、何故か安心して恋の行方を追っていけます。安奈ちゃんは着実に芸能人としてスターダムを駆け上がろうとしていくなか、二人の恋路はどうなるのか、予定調和と思いつつもちょっとだけドキドキして続巻を期待してしまう作品です。


からかい上手の高木さん
うーん、説明不要! 知らない人いなさそうだしw
でも説明すると、中学生男子の西方くんは、隣の席の女子、高木さんにいつもからかわれていた。最初はただの嫌がらせ的なからかいと思っていた西方くん、思わせぶりな高木さんの口調にクラスメイトではなく「女の子」として意識せずにはいられなくなっていく。なんだかんだで帰宅はたいてい一緒に帰るし、なんだかんだで放課後や休日に一緒に過ごすこともあって、西方くんは高木さんが自分を好きだということを少しずつ意識していく、というような内容です。
この作品では、2人の仲を裂くようなエピソードはないし、高木さんは西方くんをからかいつつもいつも好意的に振舞うので、明確な恋仲ではなくても確実にカップルになると誰もが予感できるのですが、作者さんはそのイメージを確実なものにすべく? スピンオフ作品ではなんと西方くんと高木さんが結婚生活を始めてしかも就学前の娘さんまでいる、というものまで発表しています(作者は他の方)。さすがにこのスピンオフは恋愛ものではないのですが、落ち着いた愛のある結婚生活を垣間見ることができ、「これはまさに理想だな」と思わずにはいられないようなストーリーとなっています。


新婚のいろはさん
主人公は成年している漫画家男性(OYSTERさん?)、ヒロインは彼の妻のいろはさん。この作品の売りは、結婚はしているけれども「恋愛なしで先に結婚したので本当の恋愛はこれからだ!」というものです。
まあ、結婚しているし、夜は普通に同衾しているので(えっちなシーンはありません)、上記の他作品とは恋愛の形は随分落ち着いたものとなっていますが、もともと2人の感性がとても合っている、だからこその結婚、というところで、日々の生活を密接に過ごしながら、互いが本当に互いを好き合っている、ことの答え合わせのようなものを4コマ漫画で作者さんは見せてくれています。
姉さん女房らしい夫との付き合い方が面白いし、漫画家らしい浮世離れがギャップとなって微笑ましさ全開です。まあ、まあ、何ていうかこれも「究極の」結婚生活ではないでしょうか。結婚してもなお、「恋愛関係」を続けているのですから。


それでも歩は寄せてくる
将棋部での将棋の指し合いが話の中心という一風変わった恋愛ものです。主人公は男子高校生の歩くん、ヒロインは将棋部部長で歩くんより年上のうるしちゃんとなっていて、歩くんは部長のうるしちゃんが好きだけれども、将棋の平手でうるしちゃんに勝つことができたら告白する、という願をかけてしまったがゆえに、うるしちゃんは彼が自分に好意を持っていることにとっくに気づいているのにカップルになれないまま高校生活を続けていく、というウルトラC的な……最近の将棋で言えば、魔王渡辺三冠が繰り出した16連続王手を躱し続けて逆王手で詰ませてしまう藤井聡太7段のような神業的な設定の作品です。
本作ではきちんと将棋しているのですが、歩くんとうるしちゃんとのやり取りがあまりにも微笑ましくニヨニヨしてしまうために、「あんまり将棋関係なくね?」とつい思ってしまうような内容となっています。しかしながら、3巻ではより密着してきているので、歩くんの初勝利の日も近い?(それとも、「もうちょっとだけ続くんじゃ」?)



という感じです☆

上記のようなライトな作品群に慣れてしまうと、もうドロドロな恋愛模様とかの作品は読む気にもなりません。特に過去にレビューした恋愛苦行ものの「イエスタデイをうたって」なんて以ての外ですw(まあいい作品でしたけども)