漫画 ペリリューを読んでみた(第6巻まで)

漫画には、けいおん! とか、ばくおん!! とか、ハイキュー!! なんていう4文字のタイトルの作品があり、今回のペリリューも遠目からなら、そういった感じの漫画なのかな? と思わせてくるのですが、実はそれらとは全く中身が違う作品だったりします。

ペリリュー ─楽園のゲルニカ(リンク先はamazon)


この作品は、第二次世界大戦、大東亜戦争で起こった日本軍と米軍の戦いを現地の日本兵の視点で描いた戦記物に該当する漫画です。

フィクションではなく、実際にパラオのペリリュー戦に参加された方の証言が元となっています(何巻目かの巻末にその方が出てきます)。


Wikipediaのページによると、日本軍10,695人で米軍48,740人と戦い、日本兵の生き残りはわずか34人という壮絶な結果となった戦闘であり、本作でもその状況について克明に、開戦から玉砕そして長い敗残の日々が語られていきます。


この作品の大きな特徴は、登場人物がかなりデフォルメされている、ということに尽きます。
大人は3等身、子供なら2等身で描かれており、何か可愛らしい感じすらする見た目です。

しかし、この特徴には大きな意味があり、このデフォルメの効果によって、ほとんど全ての「悲惨」で「残酷」な有様をありのまま描写できているのです。

それこそ、実写はもちろんのこと、写実的な描写なら、とても正視に堪えない様々な様子の遺体も、この3等身描写だからこそなんとか冷静に見れる内容になっています。


生き残りの方の証言内容のあまりの生々しさに、作者の方はこれをどう表現するか悩まれたと思いますが、
結果として、内容をソフトにして描写はリアルに、ではなく、内容はそのままボカシなしで、代わりに見た目をソフトにする、ということになったのでしょうが、これは史実を正確に伝えるという意味では成功していると思います。


終戦の1年前の話ですから、日本の状況はただひたすらに劣勢、そんな中でも米軍への投降は絶対に許されず、劣悪な環境でひたすら防戦を強いられるという日本兵の悲惨さ……それでも生きたいと願う20代前半の若者たち……


こうした作品をどういうスタンスで読めば良いのか悩む方もおられると思いますが、難しいことはないです。
他の漫画と同様に普通の気持ちで読み始めればよいのです。
デフォルメキャラという手法による効力により、怖すぎて気持ち悪すぎて思わず目を背けるような描写は(今のところは)出てきません。

読むうちに、心に様々な思いが去来する方、あるいは、特に感想を持たない方もおられるでしょうが、「過去にこういうことがあった」ことを知ることができたなら、まずは十分だと思います。

何しろ74年前もの出来事なので、大東亜戦争の生き残りの方もすでに90歳以上となり、いよいよ「生の声」はより聴きにくくなりつつあります。

そうした中での本作は貴重な、本物の体験談ですから、それに(漫画の形で)触れられる、ということはとてもありがたいことです。

これまで大東亜戦争の多くの戦記物を読んでこられた方には、デフォルメでの描写に新鮮さを感じ取れるでしょうし、これまでほとんど戦記物を読んだことがない方にも、大東亜戦争の姿を知るいいきっかけとになるでしょうから、あまり気負わずに敬遠せずにさらりと読んでみてください。


……余談ですが、もしアニメ化するなら、タイトルは「ペリリュー!!」でお願いします。そしたら、視聴者もうっかり気軽に観てくれるかもしれませんので。

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